新潟佐渡「佐渡総合高校米 熱血青春米」 1kg
¥1,500
高校生が大事に栽培に取り組んだ、佐渡こしひかりです。
日本海のミネラルを多く含んだ「潮風」を受け、そして鉄分の多い赤土で育まれました。
生産地:新潟県
生産者:佐渡総合高校
品種:こしひかり
※お米は生モノです。美味しくお召し上がりいただけるよう、到着後1ヶ月を目安に消費していただくことをおすすめしております。
※写真は2合となります。
レポート
[米談義]
4月 熱血青春米
暫く、日を見ていない。
ここ数日の、傘もいらない程度の小雨が降り続く実に五月らしい長雨が少しずつ心にもやをかけている。
古くから人々の琴線に触れてやまない雨は、その表現の多さもさることながら多くの和歌や文学に登場する。
ちょうどこの前台東病院に掛かった後辺りを散策し、良い機会だと訪れた一葉記念館で見た『たけくらべ』も、雨が印象的な役割を果たす作品の一つである。
美登利と信如のすれ違う恋が鮮明に描かれた『たけくらべ』のラストシーンに繋がるある場面。雨の中、家の前で鼻緒の切れた信如に気づいた美登利が照れつつも役に立ちたいと紅い友仙を投げるが信如は素直に受け取れず、結局打ち捨てられたまま雨に打たれる友仙にやるせなさを感じたのは自分一人ではないだろう。
米の成長には欠かせないとは知りつつも、『たけくらべ』や『羅生門』然り作品を暗く印象づけるのは雨であり、殊、人々の生活において「天気が悪い」と言えば雨なのである。
ただ、幸い太陽に勝るとも劣らないまばゆさを放つものを知っている。
今日も米を炊こう。それも土鍋で。
気分が落ち込んでいる時にこそ、美味しい米を炊く。輝く米を見れば、心は晴れる。
炊くのは佐渡総合高校が育てたコシヒカリの熱血青春米。心のもやを吹き飛ばすのにもってこいのネーミングである。
梅雨寒の今日は浸水は長めに50分ほどにし、その間に米を際立てるアテを用意する。冷蔵庫を開け、すぐさま好物である揚げ出し豆腐と揚げ茄子に心を決めた。
半分にした茄子に十字の切り込みを入れて水にさらしアクを抜き、その間木綿豆腐を一口大に切り分け水気を取っておく。
また、つゆとして水、めんつゆ、みりん、砂糖、白だしを混ぜたものをラップにかけ、レンチンする。
アクの抜けた茄子と水気の取れた木綿豆腐に片栗粉を振りかけているうちに50分が経過したので、米を火にかけた。
例によって12分のタイマーをセットし、そのうちに豆腐と茄子を揚げる。縦並びの2口コンロで土鍋と大きなフライパンは同時に使えず、小さなフライパンで少しずつ揚げていると、タイマーがなった。米を蒸らしの工程に入れ、揚がった豆腐と茄子につゆをかけ、鰹節と刻み葱をトッピングした。
蒸らしが終わり蓋を開けると、無限大の期待感を湛えるキラキラした白米が待ち構えていた。
雨のことなど微塵も頭になく食欲の奴隷となった自己を認識し、しかし恥じることなく本能のまま茶碗によそう様は、かつて野球部だった頃の育ち盛りの自分そのものであった。
茶碗いっぱいの米と好物の揚げ出し豆腐、揚げ茄子を前に我慢することなど至難の業であり、いただきますも適当に大口で米を出迎えた。すると噛む前に形容し難い芳醇な香りが鼻腔を刺激し、ますます食欲を掻き立て口の動きはいつもの数倍の速さとなった。噛むとストレートな甘さが脳を喜ばせ、強い粘り気がもう一回、もう一回と顎を動かす原動力となった。
揚げ出し豆腐と揚げ茄子との相性はどうかと、鰹節と刻み葱を絡ませ米とともに口に放り込む。鰹節でブーストされ出汁の効いたつゆに、しゅんだ豆腐、茄子の食感が刻み葱に支えられ味覚、食感ともに満点を叩き出したアテに敗北を喫するかと頭をよぎったが、すぐに熱血青春米が巻き返してきた。佐渡総合高校の米にかける熱量をそのままに伝える米の出来栄えに素直に驚いた。
佐渡と聞けば新潟の離れ小島で金山で有名、程度の知識しか持ち合わせていなかったが、その島を支える若い力に期待を持たずにはいられない。
一葉記念館が吉原の外れに位置することを話すと堰を切ったように揚々と風俗のあれこれを話し出すおこんさんを目の当たりにしたが、佐渡高校の皆さんには『たけくらべ』のように甘酸っぱい青春と健やかな成長を願うばかりである。
佐渡総合高等学校
明治43年5月2日、新潟県佐渡郡新穂村大字大野報恩寺を仮校舎とし、佐渡郡新穂村・畑野 村組合立佐渡農学校として開校した歴史ある高校です。